未経験転職で年収は下がる?厚労省データで見る実際の割合

「相談だけでもしてみようかな」と思うたびに、心のどこかで「でも、年収が下がるって言われたらどうしよう」とブレーキがかかる。そんな感覚に覚えはありませんか。

結論から言うと、厚生労働省の最新調査(令和6年)では、20代の転職者は年収が「増えた」人の方が「減った」人よりも多くなっています。ただ、これで不安がすぐに消えるわけではありません。この記事では、その数字の中身と、数字だけでは見えない部分を、できるだけ正直に整理します。

年収を「上げる」ために何を確認すればいいかは、こちらの記事で整理しています。この記事では、未経験転職で年収が「下がるかもしれない」という不安に絞ってお話しします。

→ 年収を上げたいと思ったら確認すること

この記事で分かること

結論: 20代の転職者は、年収が「下がった」より「増えた」人の方が多い

厚生労働省「令和6年雇用動向調査結果の概況」の実数を見ると、20代の転職者では年収が増えた人が減った人を上回っています。

年齢層年収の変化(令和6年実績)
20〜24歳増加50.5% / 減少16.8%
25〜29歳増加46.3% / 減少29.2%

(出典: 厚生労働省「令和6年雇用動向調査結果の概況」表6。令和6年〔2024年〕1年間の転職入職者が対象。公表日2025年8月26日)

20代前半・後半のいずれも、年収が増えた人の割合が減った人を上回っています。

ただ、これは全体の傾向であって、あなた個人の答えではありません。実際にどちらに近くなるかは、これまでの経験の伝え方や、応募先の業界によって変わります。

ネットでは「未経験転職の51.2%が年収ダウン」という数字を見かけることもあると思います。厚労省の数字とは大きな差がありますが、この差の理由を厚労省の統計だけから断定することはできません。

もっとも自然に考えられるのは、対象範囲の違いです。厚労省の数字は同業種内の転職も含む転職者全体の実績で、51.2%という数字は未経験・異業種転職者だけに絞った調査、または特定の調査機関による独自アンケートである可能性があります。ただし、その一次ソースを確認することはできませんでした。

これで不安が消えるわけではありません。全体としては増えた人が多くても、下がる場合ももちろんあります。次の章で、その理由を見ていきます。

なぜ「未経験は年収が下がる」というイメージが強いのか

未経験・異業種への転職では、覚える仕事の範囲が広く、これまでの経験がそのまま評価されにくい面があります。研修期間や、新しいポジションからの再スタートという事情が、年収に反映されることもあります。

求人票の「想定年収」の欄を見て、思っていたより低い数字に驚いた経験がある人も多いと思います。こうした実際の体験の積み重ねも、「未経験転職は年収が下がるもの」という感覚を強めている一因だと考えられます。

下がる場合に備えて、教育訓練給付金のような公的な支援制度が用意されていることも知っておくとよいと思います。対象となる講座や条件は制度によって異なるため、詳しくはハローワーク等で確認することをおすすめします。

下がるとしたら、どのくらいの幅か

知るのが怖い、という気持ちのまま、ここまで読み進めている人もいると思います。厚労省の統計では、年収が減った人の中でも、下がり方に幅があることが分かっています。

年齢層減少の内訳(令和6年実績)
20〜24歳1割未満5.6% / 1割以上11.2%
25〜29歳1割未満11.6% / 1割以上17.6%

(出典: 厚生労働省「令和6年雇用動向調査結果の概況」表6、同上)

減った人の中では、1割以上下がった人の方が、1割未満の下落より多くなっています。

「年収ダウンは1割程度が許容範囲」という目安を紹介している転職メディアもありますが、この目安はハイクラス層向けの記事で示されていることが多く、20代・未経験転職にそのまま当てはまるとは限りません。

知ってしまえば、少なくとも漠然とした不安ではなくなります。

「相談したら下がると言われそうで怖い」と感じる方もいると思います。実際の相談では、今の経験が応募先でどう評価されそうかを一緒に確認するところから始めます。気になる方は、公式LINEで相談できます。

職種によって、下がった分の伸び方はまったく違う

ここまでは、転職した年に年収がどれくらい増減しやすいかを見てきました。ここからは、その後の年数で年収がどう変わっていくかを、職種別に見ていきます。

厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」をもとにした職種別の年収推計を見ると、20代前半から後半にかけての伸び方に差があります。

職種20代前半→後半の年収推計
施工管理(建築)約378万円→約509万円(+131万円)
IT(ソフトウェア作成)約348万円→約470万円(+122万円)
営業約376万円→約484万円(+108万円)
事務約343万円→約440万円(+97万円)
販売約304万円→約351万円(+47万円)
介護約323万円→約353万円(+30万円)

(出典: 厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」職種別第5表。同一職種に留まった人の年齢階級間の推計であり、未経験転職した人がそのまま同じ伸びを経験することを保証する統計ではありません。表中の「施工管理(建築)」は、統計上の区分「建築技術者」〔設計者を含む〕の通称です)

このデータは、すでにその職種に在籍している人同士を年齢で比較したものです。未経験でその職種に転職した直後の年収が、この推計と同じ水準になるとは限りません。

「転職後、年収がいつ元の水準に戻るか」を直接示す統計は見つかりませんでした。断定はできませんが、下がった金額そのものより、その後どの職種を選ぶかの方が、長期的な年収には関わりが大きいのではないかと考えられます。

施工管理・IT・営業は5年で100万円以上伸びる一方、介護・販売は伸びが緩やかという差は、職種選びの材料になると思います。

よくある質問

Q. 未経験転職で年収は必ず下がりますか。

A. 必ず下がるわけではありません。厚労省の令和6年調査では、20代の転職者は年収が増えた人の方が減った人より多くなっています。ただし個人差があり、下がる場合ももちろんあります。

Q. 年収ダウン、何割まで許容すればいいですか。

A. 明確な基準はありません。厚労省統計では、年収が減った人のうち、1割以上下がった人の方が1割未満の下落より多い状態です。「1割程度が目安」という考え方を示す転職メディアもありますが、必ずしも20代・未経験転職を前提にした目安ではありません。

Q. 年収が下がった場合、いつ元の水準に戻りますか。

A. この問いに直接答える統計は見つかっていません。ただ、職種別の年収推計を見ると、施工管理やITのように20代のうちに大きく伸びる職種もあります。回復にかかる期間を約束することはできませんが、職種選びが一つの材料になります。

Q. 「未経験転職の51.2%が年収ダウン」という情報を見たが本当ですか。

A. その数字自体を否定する材料は持っていませんが、厚労省の令和6年調査(20代の減少割合は16.8〜29.2%)とは水準が大きく異なります。対象範囲が違う可能性が高いと考えられますが、51.2%という数字の一次ソースは確認できていません。

まとめ

下がるかどうかを一人で計算し続けるのは、思っている以上に負担が大きいものです。言葉にしてみることで、見えてくるものもあります。

未経験転職で年収がどう動くかは、経験の伝え方と応募先によって差があります

ここまで、分からないことも多いと正直に書いてきました。それでも、「下がるかもしれない」という不安は、確かめないまま抱え続けると大きくなりやすいものです。実際に下がるかどうかは、これまでの経験がどう伝わるか、どの業界・職種に応募するかによって変わります。

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最終更新: 2026-09-02